発達障害の特徴について、「発達障害者支援ハンドブック2020」で解説とともに問題点が指摘されています。前回に続いて三大発達障害以外の発達障害について紹介します。
発達性協調運動障害は、手足に麻痺がないにも関わらず、動きがぎくしゃくとして、さまざまな運動や日常生活動作が困難になる状態です。物をつかむ、ハサミや刃物を使う、書字、自転車に乗るなどの運動技能に拙劣さがあったり、物を落とす、物にぶつかるなど、いわゆる不器用さがあったりするなど、年齢や知的な能力と比べて運動が苦手な状態を呈します。この苦手さのために、日常生活活動、学業や就労活動、余暇・遊びなどが妨げられます。やる気の問題、練習不足などと誤解されることもあります。
発達性協調運動障害は注意欠如・多動性障害の30〜50%、学習障害の50%ほどに併存すると言われています。
疾病の発症や事故で受傷するなどして脳の器質的病変が起こり、認知や行動の障害を呈する場合は高次脳機能障害とされます。物の置き場所を忘れたり、新しい出来事を覚えられない記憶障害、ぼんやりしてミスが多い、二つのことを同時に行うと混乱するなどの注意障害、自分で計画を立てて物事を実行できない、人に指示してもらわないと何もできないなどの遂行機能障害、興奮しすぎたり暴力を振るう、自己中心的になるなどの社会的行動障害などが症状として現れます。これが発達障害と混同される場合があります。
発達障害に含まれる障害については、何歳ころまでの発症か、どのような経過を辿るのかといった診断基準があり、高次脳機能障害に含まれる障害とは区別されています。発達過程で獲得されるべき能力を獲得できない場合が発達障害、獲得された能力を脳の疾病や外傷によって喪失する場合が高次脳機能障害と区分されています。