丸大豆でない大豆の形は?

丸大豆という言葉が広く知られるきっかけとなったのは、丸大豆醤油の登場でした。“丸大豆”を使っていることを強調して特別感を出したわけですが、それまでの醤油は何を使っているのかとの疑問を抱く人も少なくありませんでした。丸大豆の意味を知っているのに、わざとメーカーの広報に「丸大豆でない大豆は三角ですか四角ですか」と聞いたことがあります。その返答は「丸大豆というのは大豆を丸々使っている大豆のことです」でした。では、丸大豆でない大豆は何かという問いに対しては正直に「脱脂大豆」と答えてもらいました。
脱脂大豆は大豆の搾りかすのことで、国内で流通している醤油の80%ほどは脱脂大豆で作られています。大豆油は丸大豆から約20%含まれている油を絞った残りが脱脂大豆です。丸大豆から絞った大豆油は濾過されるので、大豆油以外の成分も絞り出されていることになります。
丸大豆を輸入して、国内で脱脂大豆にしているのは少なくて、海外で脱脂大豆にして輸入されているのがほとんどです。脱脂大豆は重量が軽くなることと、大豆油を絞ったときの残り物ということもあって、安く輸入することができます。それだけでなく、脱脂大豆はつぶされていることから水を吸いやすく、分解されやすいことから早く製造できます。だから、安い醤油が作れるわけで、丸大豆醤油は、どうしても高くついてしまいます。
丸大豆というキーワードは、伝統的な製法の醤油で、おいしい醤油であるということを示しています。というのは、脱脂大豆から製造しているときには通常の製法と異なることから、添加物などが使用されます。その使用されている添加物は確認することができません。醤油を製造するときに使用した添加物は製造の最終段階で取り除かれているということで、表示免除、つまり表示しないことを許されているのです。