乳酸菌100億個で大腸の働きはよくなるのか

乳酸菌飲料やサプリメントに乳酸菌が含まれていても、これは当たり前のことなので、別段驚かされることではありません。ところが、青汁に乳酸菌が含まれる、しかも100億個も、ということで、青汁人気を高める要因となりました。この量が本当に多いのかということですが、腸内細菌の数は1000兆個だと言われています。1000兆個に対しての100億個は10万分の1の量です。腸内細菌の善玉菌の理想的な割合は20%とされているので、これに対する割合でも2万分の1で、毎日100億個を補充しても、あまり効果がないことがわかります。
そもそも乳酸菌が大腸に効果があるのかということですが、乳酸菌が主に活躍するのは小腸です。大腸の働きを改善しようとするなら大腸の善玉菌であるビフィズス菌を摂る必要があります。大腸の中に棲息しているビフィズス菌と乳酸菌の割合を見てみると、ビフィズス菌は99.9%、乳酸菌は01%の割合になっています。乳酸菌が100億個も含まれた青汁を、どれだけ飲んでも大腸の働きをよくすることは難しいことがわかるはずです。
ところが、乳酸菌が含まれた健康食品やサプリメントの広告宣伝を見ると、「スッキリ」とか「毎朝の習慣」、「臭いが気にならない」という曖昧な表現ではあっても、便通をよくすることを暗に示しています。便秘そのものは病気ではないとしても、便秘の人は改善を治療のように考えています。医薬品以外は治療にも予防にも使えないのが法律の規定で、食品に分類される健康食品などは治療効果のような表現は許可されていません。
許可されていないということは、法律を遵守するなら誰も効能効果が言えないということで、それならイメージ広告、例えばトイレを想像させるドアから出てきた人がニッコリとしているというシーンを放送すれば、便通がよくなったことを言っているのと同じことになります。それなりの効果がある商品ならまだしも、乳酸菌は大腸への働きは期待できないということになると、イメージ広告にしても如何なものかと思います。
ビフィズス菌については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。