京都の言い回し12 逆の意味合いの表現

京都の“いけず”を疑い始めたら、まったく逆の意味で言っていることも頭に置いておかないと付き合っていけないと言われることがあります。
それは言い過ぎではないかと思われる反面、確かに当たっていると感じることもあります。

逆の意味で使われると思われてしまうのは、京都特有の歴史背景があり、とにかく敵を作らないように曖昧な表現をすることが一つにはあります。

曖昧であれば、その言葉を聞いた人の感覚で済ませることもあるのでしょうが、褒めているような表現であると、曖昧が通じないことがあります。

ファッションや趣味、恋人選びまで、さまざまなシーンで使われる「お似合いですね」は、もの凄く似合っているということはなくても、少なくとも似合っていないとは思っていないというように受け取るのが普通の感覚です。

ところが、本音で京都の方と付き合えるようになると、「お似合いですね」と言った相手について、「似合っていない」との評価の言葉を聞くことがあります。

「お似合いですね」と「似合いますなあ」は同じ感覚で使われている言葉なのかと思っていたら、「似合いますなあ」は「はずかしい格好」という意味で使われていたこともありました。

その似合っていると感じさせるような言葉づかいに、「いい時計してますね」があるのですが、これは似合っていない派手な腕時計をしているとか、身分に不相応な高級腕時計という意味だけではありません。

いい時計だと言われたら、思わず腕時計に目が行くはずで、腕時計に目が行けば時間の経過もわかります。ということで、「いい時計してますね」は「話が長い」「もう帰ったらどうか」というときに使われるということを聞いたときには、裏を読むことの大変さを感じたものです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕