他人に何かを貸すときには、返してもらうことが前提となります。
貸す対象によっては、「貸すときには返してもらえないことを想定して」という考えがあって、中でも返してもらえない対象となりがちなのは金銭です。
法律では、金銭を返してもらう権利が発生したときから5年間、催促しないと時効となります。5年も催促しないということは、貸したことを忘れたか、返してもらうことを諦めたかと判断されるのが普通です。
では、「返さなくていい」と言って貸してくれた場合はどうかというと、そのようなことを言うのは相当に関係性が深いか、初めから返してくれそうもないと思われているか、返さなくてもいい程度のものということが考えられます。
こういったことを前提にして、京都人の言い回しとして使われることが多い「返さなくてもええよ」は、どのように解釈すればよいのかということですが、その多くは「そのうち返して」という意味合いがあります。
本来であれば「返さなくてもええよ」の前に「すぐに」とか「今は」がつかないと真意が伝わらないのですが、そのような余計な言葉を付け加えなくても、気持ちを察してもらえるのが京都人であり、全部を言わなくても伝わる(伝わってきた)京都の言い回しの妙です。
「すぐに返さなくてもいい」「今は返さなくてもいい」ということは返すのが当たり前、必ず返してという気持ちが含まれています。
天邪鬼(あまのじゃく)で逆のことを言っているように他の地域の人には思われがちなことも、“京の都”の方々には、そのような心づかいをして付き合わなければならないという教訓のような言い回しです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕