京都の言い回し18 「元気そう」は褒め言葉か

元気なことはよいことで、実際に元気でなくても「元気そう」と言われるのは気分的にはよいことです。少なくとも「元気そう」と言われて嫌な思いをすることは、よほどのことがなければないはずです。

よほどのことというのは、元気そうに見せているものの、実際には苦しい思いをしていることで、それが自分の努力や工夫では、どうにもならないところまで追い込まれていると、「元気そう」は精神的なダメージを与える“悪魔の言葉”にもなりかねません。

これは受け手側の事情や対応という話ですが、こちらの心情に関係なしに、ダメージを与える言葉を投げかける人に出会うことがあり、それを京都で経験したという人も少なくありません。

それは京都人に特有とされる言い回しで、「いつ見ても元気そうやね」と言われたら、これは元気であることへの褒め言葉ではありません。

これまで京都の言い回しとして、言っている言葉の裏に本音があること、逆の意味で使っていることを紹介・説明してきました。それからすると、「元気そうやね」は「うるさい」「騒々しい」という意味が含まれているということになりそうです。

実際に、そのような気持ちを伝えようとして使っている人もいるにはいるのですが、「いつ見ても」という言葉が「元気そうやね」の前につけられていると、ちょっと意味合いが違ってくます。

元気に見えるだけではなくて本当に元気に働いてほしい、もっと元気に働いてくれという気持ちが込められていて、「休まずに働け!」という厳しい意図もあります。その言葉を優しそうに感じるイントネーションで言われると、“いけず”と感じさせられてしまいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕