京都の言い回し19 褒め言葉の裏の意味

東京都を除く道府県の住人の特徴を中心ネタにしたバラエティ番組は、“あるあるネタ”の宝庫です。中でも特徴がある地域として取り上げられる回数が多いのは大阪ですが、大阪は比較対象としても再三登場しています。

その大阪の比較対象とされるのは京都です。以前は転勤族をテーマにしたミニドラマのコーナーがあり、そこで褒め言葉は逆の意味で言っているという、他のところの住人には衝撃的と言われる言葉が取り上げられていました。

その一つは「元気なお子さんですね」で、これを言葉通りに受け取ったら、大変なことになるというオーバーな表現がされていました。「元気なお子さん」というのは、騒々しい、うるさいということを婉曲(えんきょく)に言っています。

婉曲は一般には“遠回し”の意味で使われることが多くて、露骨にならないように、さりげなく注意することを指しています。ところが、京都では婉曲が露骨な表現とイコールに聞こえてしまうことがあります。

それこそ京都人のことを理解していない考えということで、決してオーバーな表現ではないということです。

これと並んでよくネタとして使われるのは、「お嬢ちゃん、ピアノ上手になったね」です。上手になったと褒めているわけではなくて、ピアノの音が気になるということは耳障りということであり、近所迷惑という意味も含んでいます。

本当に上手であれば、上手になったと褒める必要もなくて、「上手」は「下手」という意味合いまで含まれていることがあります。

これと似た言い回しとしては「きれいにしてはりますな」ということが言われます。本当にきれいだと思っていたら、わざわざ口に出す必要もなくて、これは、きれいとは言えない、「片付けろ!」という意味でも使われています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕