京都の方に「考えとくわ」と言われて、これを真に受けて、考えがまとまるまで待ち続けていたら、何も考えられていなかった、初めから考えるつもりもなかったというのは、京都人の気質を知っている人には当たり前にも思えることです。
「考えとくわ=お断り」という独特の言い回しが理解できていれば、間違った対応をすることはなくなるところですが、京都人の全員が同じ反応をするわけではありません。そのため、「考えておく」と言って、本当に考えていた場合には、そのチャンスを逃すことにもなります。
このようなことは、特に間違いやすい言葉づかいには注意に注意を重ねて対応しないと、とんだ間違いをしかねません。
こう言った間違いやすい言葉づかいの実態を明らかにしている媒体といえば文化庁の「国語に関する世論調査」が最も有名です。
この調査で浮かび上がってきた言葉づかいの中で、京都の方々との付き合いで失敗談が多く報告されているのが「やぶさかではない」です。
「やぶさかではない」は「やぶさか」と「ではない」の2つの言葉で構成される表現です。「やぶさか」(吝か)は、ケチ、物惜しみをする、やりたくない、気が進まない、ためらうといった思い切りの悪い状態を表す言葉です。
物事に対して、消極的で後ろ向きの様子を意味する「やぶさか」を「ではない」と否定している「やぶさかではない」は前向きに対処する、喜んで対処するという積極的に行うという意味になります。
ところが、「やぶさかではない」を仕方なくする、納得していないが承諾するというように本来の意味とは異なる(間違った)使い方をしている人が多く存在しています。
「やぶさかではない」が「国語に関する世論調査」で初めに取り上げられたのは2013年のことで、正しい意味(喜んでする)で捉えているのは33.8%であるのに対して、間違った意味(仕方なくする)で捉えていたのは43.7%にもなっていました。
全国平均でも、この多さであるので、本音を出さない気質がある人については、どのような感覚であるのかを確認しておかないと、思いもしないような読み間違いをすることになりかねないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕