漢字を使った言葉遊びをしているつもりはないのですが、漢字の意味や成り立ちを学んでいると、同音異義や異音異議が出てきて、これを活用して他人の説得材料にしようとする方も登場してきます。
その一つに“人気”という漢字があって、“にんき”とも“ひとけ”とも読む異音意義語です。両方ともに「〜がない」と続ける使い方がされていて、人気(にんき)がないのと、人気(ひとけ)がないのでは、大きく意味が違ってきます。
地方創生のコンサルタントの一員として東京から岡山に来たときのこと、感想として自治体が集客したいと希望している観光施設に「人気がない」ということを文書で示したところ、「そんなに人気(にんき)がないのか」と聞かれました。もちろん、人気(ひとけ)がないと事実を書いただけで、その理由が人気(にんき)がないと書いたわけではありません。
これまで異音異議語は言葉遊びの延長として使っていたところがあったのですが、異音異議語は真実を伝えるのに役立つのではないか、と認識を新たにしたきっかけでした。
人気には他の読み方もあって、“じんき”と読むと地域の気風・特性、活気を意味します。地域の特性を配慮しないで、他の地域での成功例をもってきて、同じようにすれば同じ結果が得られると説明する広告代理店やコンサルタントの考えを表すときに、人気(じんき)を使うこともあります。
実際に、特性を考慮しないアドバイス、成功例に振り回されているコンサルタントに何人も会いました。人気(じんき)がない=活気がない地域が、いろいろな取り組みをしても、結局は人気がないままだったのは、コンサルタントのせいだということに一番気づいていないのはコンサルタント自身ということで、そのコンサルタントにコンサルタントをしたことがあります。
もう一つ人気には“ひとげ”という読み方もあって、この場合は人間らしさを意味します。ここまで話を進めると、やってきた実績の話ではなくて、人間性の話となりかねないのですが、コンサルタントの人柄が実は成功の秘訣、人気(じんき)を配慮して人気(にんき)を集めて人気(ひとけ)を増やすという結果につながるということを伝えさせてもらっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕