地域の健康づくりの活動は、子どもだけでも高齢者だけでもなくて、子ども、親世代、祖父母世代の三世代を対象にして、その三世代が集まれるような仕組みが必要です。高齢者を対象とした活動に子どもの参加を求めてもほとんど効果はみられないのですが、子どもを対象とした活動では親も祖父母も集まります。実際の家族だけではなくても、地域での活動は子ども対象であれば、呼びかけ方によっては三世代を集められます。
このようなことを地域活動で提案するのは、子どもの健全な発育のために力を注がなければならないはずの親世代が、通常でも忙しいうえに、コロナ禍の影響によってさらに忙しくなり、苦しさが増していて、地域活動に参加しにくくなっているからです。
子どもを支えていく活動への参加を願っても、最も支援が必要とされる未就学、小学1〜2年生の親は“ゆとり世代”呼ばれる1987〜2004年の生まれ(この世代の最年長は34歳)で、子どものときに競争社会の厳しさを体験してこなかった世代です。そのことが仕事の場面で稼ぎにくく、生活を苦しくさせる要因の一つにもなっています。
また、バブルが崩壊した1991年に生まれた親世代は、今は30歳で、これ以降の年齢は崩壊後の苦しい思いをし続けてきた親の影響を受けたまま学生時代を過ごしてきました。恵まれない時代を過ごしてきたことで、広い世代との交流の機会に乏しく、これがコミュニケーション不足につながり、地域との関わりが浅くなってしまった世代でもあります。
コロナ禍で成長している5〜15歳は、10年後(2030年)には15〜25歳の学びの最前線、20年後(2040年)には25〜35歳の仕事の最前線の年齢となります。のちのちには“コロナ世代”と呼ばれるようになり、最も成長すべき時期に充分な教育と支援が受けられなかったために、社会生活に困難さが生じやすくなる世代ともみられています。
そんなことにならないように、もしくは不幸にしてなってしまった場合でも家族の影響を強く受けないように、子ども世代の将来のために、親世代を地域で支える体制が必要であり、その推進役としての祖父母世代の活躍が期待されています。その重要さは自分が高齢者の年齢になって、ますます強く感じています。
その活躍のためには仕組みと仕掛けが必要で、それを作り上げて三世代での活動を支えていくのが、これまで多くのことを経験してきた私たちの役割だと認識しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

