他人と同じことをするな!の教え

やっていないのに「やった」と言う人がいます。刑事ドラマで見る自白の強要のシーンのことではなくて、サプリメントのアドバイザリースタッフのことです。2002年に厚生労働省から「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方について」という通知が出されて、これに準じて各団体が資格認定制度を立ち上げました。その中で初めに手をあげたのは日本臨床栄養協会で、サプリメントアドバイザーの教育と認定の制度を設けました。
この制度を作るように、当時に会長に対して「自分が言った」という人に、これまでに3人も出会いました。知らないところで、もっといるかもしれませんが、そんなことを言った人がいるはずはありません。というのは、通知が出される前から関係者は内容を知っていて、言われて手をあげたわけではないからです。
当時の副会長は国立病院出身の管理栄養士で、その方の研究所に主任研究員として私は所属していました。厚生労働省の担当から新たな制度を立ち上げることの相談を事前に受けていて、私も同行して話をうかがい、他の団体が変な資格認定をする前に、つまり通知が出されるのと同時に手をあげることを決めていたからです。
この事実が知れると、今度は健康食品業界の実情を日本臨床栄養協会に教えたのは自分だ、健康食品の種類を教えたのは自分だ、と言う人も出てきましたが、認定制度の初めの打ち合わせのときに健康食品業界の年鑑とともに、健康食品に使われる素材(約500種類)のリストを持って副会長と同行したのも私です。
複数の団体が資格認定制度を立ち上げて、講習テキストが完成しつつある段階で、講師となるのは医師、栄養士、薬剤師であるだろうということがわかり、私にできることはないのかと思っていたときに、健康食品に関する制度に関わってきたことから法律の講師をすすめてくれた方がいます。そのすすめのおかげで、国立健康・栄養研究所の認定によるNR(Nutrition Representative:栄養情報担当者)の法律講師を務めました。今はNRとサプリメントアドバイザーが合同となって、その名もNR・サプリメントアドバイザーとなっています。
健康食品に関する制度というのは特定保健用食品(トクホ)のことで、東京にいた最後の年まで手がけた機能性表示食品まで、いくつかの制度と規制する法律の監視指導マニュアルにも関わりました。これが可能となったのは、先ほどの研究所だけでなく、以前に一緒の団体で役員だった方が参議院議長もされた方で、健康食品業界団体の会長だったこともあります。
今は岡山に移住してみて、法律講師の仕事は望みようもなくて、他の仕事を始めようにも新参者の扱いで、従来の仕事を狙うと強く拒否されるということを何度か経験しました。ところが、新たな仕事を作って、邪魔をされることがないことがわかり、さらに新たな働き場を作り出してくれることがわかると態度が急に変わりました。「他人と同じことをするのではなく、新しいことをしろ」と言ってくれた父親の言葉を、今さらながら感慨をもって思い浮かべているところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)