細胞の中でエネルギー代謝が起こると代謝水が発生します。代謝水というのは、細胞のミトコンドリア内にあるTCA回路の中で糖質や脂質が燃焼してエネルギー物質のATP(アデノシン酸リン酸)が発生するときに、代謝物として二酸化炭素とともに発生する水です。一般には1日に200mlの代謝水が作られているといわれ、ほとんどの書籍やWEBサイトには、この数字が出てきます。
それは本当なのか、という質問が雑誌記者からありました。エネルギーが発生した結果として発生する水なので、食べるエネルギー量が多くなれば、それだけ代謝水も多くなるのではないとの疑問ですが、これは当たり前の発想です。実際にはどうなのかというと、三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質によって燃焼後に発生する代謝水の量は違っています。100g当たりで比較すると、糖質は約60ml、脂質は約107.1ml、たんぱく質は約41.3mlとなっています。
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』(2015年版)によると、三大エネルギー源のバランスは糖質が50〜65%、脂質が20〜30%、たんぱく質が13〜20%の割合となっています。これを計算しやすいように糖質60%、脂質25%、たんぱく質15%の割合として、1日の平均の摂取エネルギー量をかけて、それぞれの重量を計算します。
成人の女性の場合の摂取エネルギー量は約2000kcalとして、糖質は60%なので1200kcalとなります。脂質は500kcal、たんぱく質は300kcalとなります。糖質は1gが約4kcalなので300gとなります。脂質は1gが約9kcalなので55.6g、たんぱく質は1gが約4kcalなので75gとなります。
代謝水は糖質が1g当たり0.6mlとなるので300gでは180mlとなります。脂質は1g当たり1.071mlとなるので55.6gでは約59.55ml、たんぱく質は1g当たり0.413mlとなるので75gでは30.98mlとなります。これを合計すると約270mlとなります。女性は摂取エネルギー量が少ないので、一般に言われる200mlと比べると多めの量となっています。
成人の男性の摂取エネルギー量は約2600kcalと女性の1.3倍なので、代謝水も同じ割合で計算すると約351mlとなります。これは日常的な摂取エネルギー量で計算していて、運動が増えて消費エネルギー量が増えると、それに合わせて摂取エネルギー量も増えていきます。運動したり、発熱があるときには、もっと多くの代謝水が作られるということです。
代謝水が多いということは、それだけ作り出されるエネルギー量が増えているということで、活動のため、元気のもととなるため、体温を高めるためのエネルギーが多くなっているということです。代謝を高めるためにはビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂の摂取が必要なこと、三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が重要であることは、これまでも紹介してきました。これらの成分も欠かさないようにすることが大切になります。
これらの成分については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。