「糖尿病は病気ではなくて未病状態」というのは、予防医学の未病研究者がよく口にすることです。糖尿病は“病”とついていて、医療機関で検査を受けて、血糖値が一定以上であると診断されます。そして、治療が行われるので、病気という認識がされるのは当然のことと思われています。
病気というのは自分の力では、どうにも対処ができなくなり、医療に頼るしか方法がなくなった状態を指しています。日本未病学会では、未病は病気と健康の間にある状態と定義して、医療機関での治療や医薬品を使ったとしても自分の力で改善できる状態は未病としています。
糖尿病は血糖値が高い状態を、自らの努力(食事と運動)によって改善することができます。むしろ食事療法と運動療法が必要で、この両方の療法を行っても血糖値が下がりきらないときに初めて医薬品(血糖降下剤)を使うのが治療の大原則となっています。
食事療法も運動療法もなしで、いきなり医薬品を使うのは、本来の姿ではなくて、改善を遅らせて、自分の努力を通じなくさせてしまうことにもなりかねないのです。
自分で改善できなくなる状態は、糖尿病では合併症が起こった状態を指しています。三大合併症の網膜症、腎症、神経障害は細くてもろい細小血管が密集している部位で起こるもので、ここまで血管の老化が進むと前の状態(健康状態)に戻すことはできなくなります。三大合併症の先には、動脈硬化、さらに心疾患(心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞など)が控えています。
合併症さえ起こらなかったら、血糖値をコントロールして健康な人と同じように過ごせるのが糖尿病なので、それを意識して血糖値が上昇しすぎないようにすることが重要だということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕