代謝と糖尿病2 血糖値だけで糖尿病の判断はできない

糖尿病は、血糖値が一定以上になった状態を指しています。そのことから血糖値が上昇しなければ糖尿病ではなくて、血糖値が診断基準よりも低くなれば糖尿病は治ったと判断されるという考え方があります。しかし、それは間違いといえます。

血糖は血液中のブドウ糖のことで、その値(一定の血液の中に含まれるブドウ糖の量)によって糖尿病は診断されます。血糖値を判定基準以下に抑えるのは簡単なことだと言われることがあります。ブドウ糖は糖質の食品に含まれていて、ブドウ糖が多く含まれる食品を避けること、ブドウ糖が少ない食品を食べることによって血糖値を下げることはできます。

血糖値が判定基準以下に下がれば、見た目としては糖尿病でないように思われても、血糖値が上昇するのはブドウ糖の摂りすぎだけが原因ではありません。健康な状態であれば、ブドウ糖が多く含まれた食品を摂取したあとに血糖値が上昇するものの、糖尿病域に達する前に血糖値は降下を始めます。それは血糖値を下げるホルモンであるインスリンが膵臓から分泌されるからです。インスリンの働きによって全身の細胞の中にブドウ糖が取り込まれていきます。

インスリンは血糖値の上昇度合いに合わせて分泌量が増えていきます。血液中のブドウ糖の量に合わせたインスリンが正常に分泌されていれば糖尿病域まで血糖値が上昇することはありません。ブドウ糖は生命維持のために重要なエネルギー源であるので、ブドウ糖が血液中に増えると、膵臓はインスリンを出し続けます。

そして、限界までインスリンを出し続けたところで、膵臓は急に働きが悪くなって、インスリンの分泌量が減ってしまいます。そのために血液中のブドウ糖が細胞に充分に取り込まれなくなり、血糖値が下がらなくなったのが糖尿病です。血糖値が高い状態が長く続いた人ほど、インスリンの分泌量が減っていて、元の状態には戻りにくくなっています。

これを改善しないことには、ブドウ糖の摂取を減らしても血糖値は下がりにくく、食事を減らすことで血糖値が上がらない状態になったとしても、これをもった糖尿病が治ったということはできないのです。エネルギー代謝が低下した状態では、これを改善することをしなければ、治ったという状態にすることはできないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕