代謝と糖尿病3 糖尿病はエネルギーコントロールの乱れ

糖尿病は血液中のブドウ糖の量によって判定されるため、ブドウ糖の摂取量を減らしさえすればよいという考え方をする人がいて、その中には医師も含まれています。ブドウ糖の摂取を限界まで減らすような極端な糖質制限をすすめる人が、それに当たります。

糖尿病の治療食はブドウ糖が含まれる糖質を大きく減らす、場合によっては糖質を摂取しないということを考える人が少なからずいますが、糖尿病の患者のための食事指導でも糖質は摂取量を確保します。それも全体のエネルギー摂取量の半分ほどは糖質から摂るようにしています。

ブドウ糖の摂取量が減れば、血糖値は下がるので、見た目では糖尿病ではないように思われるかもしれませんが、糖尿病は血液中のブドウ糖を全身の細胞に適切に取り込めなくなった状態です。本来なら細胞に取り込まれるはずのブドウ糖が、取り込みを促進するホルモンのインスリンが不足しているために充分に取り込まれなくなったのが糖尿病です。

そのために血液中のブドウ糖が多くなりすぎて、余分なブドウ糖が尿の中に含まれて排泄されます。そのことから“糖尿病”と名付けられました。糖尿病は英語では「Diabetes mellitus」といいます。Diabetesだけでも糖尿病と訳され、血糖値が異常に高い状態を指しています。Mellitusの語源はラテン語の「蜂蜜のように甘い」からきています。

血糖値を上昇させる直接的な原因はブドウ糖の摂取量かもしれないのですが、インスリンが不足するのが原因であって、インスリンを過剰に分泌させる原因はブドウ糖の他に脂肪酸もあげられます。インスリンには余分となったエネルギー源を中性脂肪に合成して、脂肪細胞の中に中性脂肪を蓄積させる働きもあります。

そのため、脂肪の摂りすぎでも膵臓に負担がかかり、インスリンの分泌が低下して血糖値が下がりにくくなることが起こります。ブドウ糖と脂肪酸のエネルギー摂取過剰が原因となっているので、全体の摂取エネルギー量のコントロールが重要になるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕