代謝と高中性脂肪血症1 脂質異常症と中性脂肪の関係

生活習慣病の中でも、糖尿病と脂質異常症はエネルギー代謝が大きく影響しています。脂質異常症は高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症を指しています。これらの改善のための食事療法はエネルギーコントロール食と呼ばれていて、エネルギー源となる糖質と脂質の過剰摂取が大きな要因となっています。

血液検査を受けて、中性脂肪の検査数値が高いことが指摘されるような状態になっても、これといった自覚症状はみられません。そのために、食生活を見直すことなく、気づかないうちに悪化させることにもなりかねません。

しかし、中性脂肪値が高いまま長期間放置しておくと、血管の老化が進み、動脈硬化から心疾患、脳血管疾患へと進んでいくことになりかねません。

心疾患という病名は「心」と「疾患」と書くため、心の病気、精神疾患と勘違いされることもあったのですが、心筋梗塞、狭心症などの心臓病のことを指しています。

血液中に存在する脂質には、中性脂肪、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸などの種類があります。このうちの中性脂肪は英語名のトリグリセリド(triglyceride)を訳したもので、酸性、中性、アルカリ性という分類の中性とは関係がありません。グリセリドと呼ばれる脂質1個に、脂肪酸が3個結びついた形となっています。

中性脂肪は、エネルギーを体内に貯蔵するための形態であり、血液中を流れる脂肪や体脂肪の内臓脂肪と皮下脂肪もほとんどが中性脂肪となっています。血液中の中性脂肪が過剰に増えた状態を高中性脂肪血症といい、中性脂肪とLDL(低比重リポ蛋白)のどちらか、あるいは両方が過剰に増えた状態、もしくはHDL(高比重リポ蛋白)が低い状態を合わせて脂質異常症と呼んでいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕