代謝と高中性脂肪血症4 動脈硬化の危険因子

中性脂肪の数値が正常範囲を超えても、すぐに身体に悪影響が出るわけではありません。しかし、血液中の中性脂肪が増加した状態が長く続くと、動脈硬化のリスクが高まります。

このことが高中性脂肪血症の危険性を高めていくわけですが、なかなか気づかないために、対応が遅れ、エネルギー量が高い脂肪の摂取を続けてしまうことになります。
脂肪のエネルギー量は1gあたり約9kcalで、糖質は約4kcalなので、2倍以上のエネルギーがあります。

血液中の中性脂肪が増えると、HDLが減り、その結果としてLDLが増えて、コレステロールが血管壁にたまりやすくなります。

動脈硬化になると血管の内壁が徐々に厚くなり、硬くなって弾力性が弱まり、血管の内側が狭くなっていきます。また、血小板の凝集が促進され、血栓ができやすくなります。そして、血管の内径が狭くなったところに血栓ができると血管が詰まりやすくなります。

中性脂肪値が高いうえに、LDLコレステロール値が高く、高血圧、糖尿病などの危険因子が重なると、さらに動脈硬化のリスクが増大します。

高中性脂肪血症のうち治療が必要となるのは、血液中の中性脂肪が150mg/dl以上となったときですが、中性脂肪は男性の場合、加齢に伴って増加する傾向があり、中年太りの原因となっています。脂肪細胞の中に多く中性脂肪が蓄積されている人は、血液中の中性脂肪も多く、動脈硬化のリスクが高いことになります。

女性は、男性に比べて中性脂肪値が低い傾向にあるものの、閉経後にはLDLコレステロール値が高くなり、中性脂肪値も高くなるために動脈硬化の危険性も高まっていきます。女性は若いうちは動脈硬化の危険性が低くても、年齢を重ねると危険性が男性よりも高くなるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕