体質との調和14 日本人の死亡原因の変化

日本人の死亡原因は、1947年(昭和22年)には第1位は結核で、第2位は肺炎・気管支炎でした。その当時も、また第二次世界大戦前も日本人の食生活では肉食が不足していたため、動物性たんぱく質と脂肪の摂取量が足りないこともあり、感染や疾患に対する抵抗力が欧米各国に比べて低くなっていました。

終戦後数年たつと食糧事情の好転によって国民の栄養状態が急速に改善されていき、不足していた栄養成分が補われたことから平均寿命が大きく延びることとなりました。昭和30年代後半には平均寿命が延び続ける中にあって、成人病(現在の生活習慣病)は比較的少なく、健康的に平均寿命を延ばすことができていました。

しかし、昭和40年代以降は食生活の洋風化がさらに進み、その影響から生活習慣病が増え続け、がん(統計では悪性新生物)、心疾患(心臓病)、脳血管疾患による死亡数が増え続けていきました。

死亡原因の第1位は、1950年(昭和25年)までは結核でしたが、1951年(昭和26年)には脳血管疾患が第1位となり、1981年(昭和56年)にはがんが逆転して、それ以降は現在まで第1位となっています。

1998年(平成10年)までは、死亡原因の第2位の脳血管疾患と第3位の心疾患を合わせた死亡数は、第1位のがんを超えていました。脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)、心疾患(心筋梗塞、心不全など)ともに動脈硬化が要因であり、脳血管と心臓のどちらが先に影響が出たかの違いであることから、動脈硬化こそが死亡原因の第1位であるとも言われました。

それ以降は、急速な高齢化の影響もあって、がんの死亡者数が脳血管疾患、心疾患の合計数を上回り、現在まで、その状態が継続されています。2023年(令和5年)の日本人の死亡原因はがん、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎の順となっています。

これは日本の高齢化率の高さと関係があり、老衰と肺炎が入っているのは高齢化によって亡くなる人が増えた影響です。最終的な死因は老衰や肺炎であっても、実際に治療を受けていたのはがん、心疾患、脳血管であった人も含まれていることから、血管の影響が大きいことがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕