日本人の健康度が高まり、平均寿命が世界のトップにまでなったのは食事の変化が大きな要因としてあげられています。
今から80年前の終戦後から大きく変わったのは食事だけでなく、生活環境や衛生環境、医薬品やワクチンの開発などの医療技術も大きく変化しました。しかし、これは先進国に共通することであり、戦後の日本において特徴的に変わったのは食事の内容です。
戦前の日本人は伝統的な食生活を守ってきました。ご飯を中心とした食事であったことから炭水化物(糖質)の摂取量が多く、肉食が不足していたことからたんぱく質と脂質が少ない食生活でした。
日本人の食事というと、肉ではなく魚を多く食べていたというイメージがありますが、魚を多く食べられるようになったのは戦後に食品の流通網が発展した昭和30年代からです。
それまでは海岸や川の近くに消費地が集中していましたが、戦後には流通網が発展して、全国各地に魚介類が届けられるようになりました。
現在のような冷蔵技術、冷凍技術がない時代は、氷で冷やして流通させるしかなく、氷を使うにしても発泡スチロールも使われていなかった時代には、生魚を店頭に並べるのも大変なことでした。
海が近い地域や流通の基地である都市部から離れた地方では、生魚が高級品扱いされることが多く、本来なら低価格の青背魚が傷みやすいことから高価格になっていて、それも日常的に食べられないことにつながっていました。
終戦から5年後の少し肉食が増えてきた1950年(昭和25年)に比べて、現在の肉類の摂取量は6倍以上にもなっています。このように、肉食の増加によるたんぱく質の摂取量が増えるにつれて血管が丈夫になり、脳血管疾患による死亡者は減っていきました。
その反面、増えてきたことがあり、それについては次回に紹介します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕