体質との調和3 未病との関係

東洋医学の発想で西洋医学での治療を行う医学として、統合医学と未病医学について軽く触れた前回に引き続き、未病医学について書き進めていきます。病気を治すため、病気にならないためであったら、西洋医学でも東洋医学でもどちらでもよいというのが患者の感覚です。

その両方を組み合わせた医療を実施しようというのが統合医学の発想です。統合医学を掲げていても異なる医学系学会だと西洋医学と東洋医学の扱いに違いもあります。統合医学を選択する場合も、どこが言っていることを信じればよいのか迷うようなこともあります。

それに対して未病医学は日本未病学会の独壇場で、未病の定義もされています。日本未病学会(発足当時は日本未病システム学会)は東京中心の医師・研究者の研究会と大阪中心の医師・研究者の研究会が統合された形で発足しました。

初代の理事長(東京大学医学部教授)とも二代目の理事長(慶應義塾大学医学部教授)とも交流があったことから会員になり、ガイドラインづくりにも参加させてもらいました。それもあって学会の中だけでなく、未病につながる中国やアジアの歴史・動向、国内の一般の認識などのリサーチもしてきました。

未病というと、予防段階を意味しているように思われることもあります。未病は健康と病気の間の状態と位置づけられているからです。予防というのは健康な状態で行われるものです。

検査をして、異常が発見されたら病気という認識かもしれませんが、異常があっても、まだ自分の努力で改善できる状態、医療の力が必要になっても弱い医薬品が少量で済むような状態は未病の範囲です。

不調の状態を自分の努力(食事や栄養など)で健康状態に戻すことができる段階が未病ですが、体質によって戻りやすい人と戻りにくい人がいます。戻りにくいのは血流が低下しやすい体質の人で、その体質の人が血管系の疾患になると特に進行しやすい傾向があります。

そのような体質の人は、検査結果で血管にダメージを与えるような高血圧症、糖尿病、脂質異常症が指摘されたときには、できるだけ早く精密検査を受けることがすすめられているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕