あない人は全部を漢字で書くと案内人となります。もとは観光地や神社仏閣を案内する人のことで、金刀比羅宮(香川県琴平町)に東京から初めて行ったときに、案内役の方が“あない人”と呼ばれていて、そんな言い方をするのかと思ったものです。こんぴらさんは象頭山の中腹に鎮座するだけに、そこまでの道のりの石段が有名で、本宮まで785段、奥社までだと1368段にもなります。
あない人が案内するのは本宮までですが、ただ本宮までたどり着くというだけなら別に案内をしてもらうこともありません。石段を登っていくだけだからです。しかし、この道のりを飽きずに、苦労を感じずに登っていくには、途中で楽しませ、励まし、関心させる話を繰り出すなど、ペースを保って先導してく人の役割が大きく、これはダイエットに通じることだと感じたものです。
ダイエットに限らず、広く健康についても寄り添い、いろいろと教えながら一緒に進んでいく案内役は大切な存在で、そんな役割になりたいと思っていました。岡山に移住して、金刀比羅宮も近くなった割には(岡山駅から琴平駅まで1時間弱)、5年間で1回だけの参拝しかしていないのですが、そろそろ案内される側から案内する側になってもよいのではないかとの思いが湧いてきました。
道案内ではなくて、健康の“あない人”のことで、日本メディカルダイエット支援機構の代表として、メディカルダイエットアドバイザーの資格認定講習をするだけでなく、ここで学んだ方々が案内役を務められるように、まずは学ぶ人の案内役になろうと思いました。
学ばせたいことを押し付けるのではなくて、学びたい、伝えたいと思うような内容を教えられる、そして目的に向かって支援し続ける立場の“健康あない人”になろうと決意しました。これまでも同様の意識でやってきたつもりではいますが、出身が臨床栄養、スポーツ科学であることから、科学的な技術論に偏りがちでした。それに加えて、精神的な支援もしていける立場でありたいという決意の一端を、このコラムで発信して、一緒に歩んでいける方々と巡り会い、実際に伴走していきたいと願っています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)