アメリカに訪問販売会社の団体の講師として、日本人の体質と食品表示の法律について話に行ったときのこと、日本の医療制度についての質問がありました。日本人にとっては当たり前の制度のように思われても、アメリカは国民皆保険ではなくて、医療費計算の根本が違っているので、日本の医療制度が奇妙に思えているようでした。
日本の医療制度は“出来高払い”です。検査、診察、手術、入院、医薬品まで、かかった費用が医療費となり、このうち保険と対象によって支払う割合が違っています。検査が多くなるほど、手術も多く、医薬品も多く、入院日数が長くなるほど多く支払わなければなりません。これに対してアメリカでは、州によって若干の違いはあるものの、病気の種類と程度、治療法によって金額を定めたマニュアルがあります。
検査と診察によって、病名と治療法を示して、「この病院では○ドルで治療する」ということが告げられます。支払い金額は、そのときに示された金額だけという“定額払い”となっています。病院とすれば、もらえる金額が一定なので、できるだけ金がかからない方法を選択することになります。
できるだけ医薬品を使わず、入院日数を短くするのが“よい医師”です。それに比べると出来高払いでは、無駄なことが許される環境にもなり、薬も多く、入院日数も長くするのが“よい医師” ということになります。
このことを伝えるために、「日本では金曜入院、月曜退院という慣例がある」という話をしました。会場からは感嘆の声があがったのですが、金曜日に入院して治療は月曜日から、金曜日に治療が終わっているのに主治医の診察を受けて退院が許可されるのが月曜日なので、6日間の無駄がある」という真実を伝えました。これに対して、「Crazy!」との声もあがったのも当然の反応です。
というのは、アメリカの平均入院日数は、その当時は5.8日で、それよりも長く無駄に病院にいなければならないのが日本の医療制度の常識だということがわかったからです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)