健康あない人18 免許更新なしの日本の医師

運転免許証は更新時期が定められていて、無事故・無違反のゴールド免許(優良運転者免許証)であっても、5年ごとの更新が義務づけられています。ブルー免許は3〜5年、グリーン免許は2〜3年の更新期間ですが、優良と認められても講習を受けなければ更新はできません。実地と学科の試験を受けるわけではなくても、講習は実施されています。

人の命を預かる運転者なら当たり前のことと言われますが、もっと厳しい条件で人の命を預かっている医師の免許は更新制度がありません。医学教育を大学で受けて、医師国家試験に合格しなければならないので、医師は優れた能力があるのは認めるところで、そこから経験を重ねていくことで能力も向上していることが期待されています。

実際に、どこまで能力が高まったのかを確認することができれば安心できるところですが、日本では更新制度がありません。それを補うように、それぞれの医学会が研修を行い、認定医・指導医の制度も設けています。しかし、学会に出席して、最新の情報を得ていれば、それで能力が向上していると言えるわけではありません。

それに対して、アメリカでは更新制度があります。州によって少し制度は違っているものの、3〜5年で更新のための講習を受けて、試験に合格しなければなりません。アメリカの医師制度は国全体ではなくて、州ごととなっているので、州の医師免許です。

日本の医師免許は1種類だけで、専門分野によって分類されているわけではありません。それに対してアメリカでは専門医制度が明確で、24分野の専門分野があり、専門分野によって更新のために学ぶ範囲が異なっています。

日本の場合は高齢になって、能力が低下してきても医師を続けることができます。それは超高齢社会では悪いことだけとはいえないかもしれませんが、日進月歩の医療の世界で、それが許されていることに疑問を感じているのは、私だけではないはずです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)