健康あない人20 「障害者VS.障がい者」

発達障害児の支援に関わった活動として、発達栄養学の普及とともに発達障害の理解を進める活動も手がけています。普及のための資料や講習テキストを示すと、必ずと言っていいほど言われることがあります。それは「障害者」という言葉を使ってよいのか、ということです。そう言う人には、ほぼ「障がい者」にすることが求められます。

医療の用語は「発達障害」となっています。法律は「発達障害者支援法」で、ともに“障害”を使っています。障害の“害”は、妨げとなるもの、災いという意味があり、災害、害悪、公害などにも使われています。障害者は害がある存在ではないという考えがあり、障害者の気持ちを汲み取って、「障がい者」という用語の使用を求める動きがあるのです。

それなら「障害」も「障がい」と書き換えることを求めるべきでしょうが、障害では「障害」を使い、障害者では「障がい者」を使うべきという考えをする人もいて、これも混乱させる要因となっています。

国民の声を反映するNHKは、どちらを使っているかというと、「障害」「障害者」です。その理由として、「障害は障害者本人ではなく、社会の側の障害のことであり、障害者は社会にある障害と向き合っている人たちという考えが根本にある」と説明しています。障害者の気持ちを汲み取って用語を変えることよりも、現実の社会の障害を取り除くことが大事だ、という考えをしているということです。

発達障害者支援法でも、社会的障壁を取り除くことが重要であるとして、社会的障壁の除去が発達障害者の支援の基本理念としています。私たちの活動も、用語を変えるのではなくて、社会的障壁の原因となっている理解不足を解消するために、自分たちができることを進め、一緒に活動をしてもらえる人にも共通認識と共通言語を持ってもらえるように講習などにも努めています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)