健康あない人32 コロナ禍でのメンタルヘルス

メンタルヘルスという言葉が、よく使われます。メンタル「精神的な」という意味で、ヘルスは健康であるので、精神的な健康、つまり“心の健康”という意味になります。

WHO(世界保健機関)では、メンタルヘルスを「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義しています。

身体が健康であったとしても、心の健康が保たれていないと健康とは呼べないということを意味していて、心身ともに健康であることが社会の一員として貢献するためには重要であるということです。身体の健康が保たれないと心の健康にも影響を与え、心の健康が保たれないと身体の健康も保たれないという相互関係にあります。

身体の健康は自分で気づくことは簡単であっても、心の健康は自分では気づきにくく、自分自身をコントロールできていると思っていても、実はコントロールできなくなっているということも少なくないのです。

平常時では心の健康が保たれる状況であっても、逃れられないような状況に追い込まれると心の健康は崩れやすくなります。コロナ禍を経験して、生活状況が大きく変わり、これが心の健康を乱して、気づかないうちに心身ともに不調になっていくという人は急激に増えていきました。

しかし、コロナ禍にあって、医療機関に通うのは時間的にも金銭的にも厳しくなり、医療費は食品や日用品のように急激に値上がりすることはないにも関わらず、診察に訪れる人は減りました。ワクチン接種がなければ、赤字になっていた医療機関もあり、ワクチン接種をする人が減っていることで、医療機関も厳しくなります。

都市部であれば心の健康の相談に訪れる医療機関がなくなることはないものの、地方では経営難から急に閉院する例もあります。救いの場が急に消えてなくなる状況では、自分自身で心の健康を保つようにしないと生き残れないという状況になりつつあります。

それだけに、心の健康が危なくなってから対策を取るのではなくて、ならないためのケアの重要性が高まっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)