“桃太郎の桃”という言葉があります。桃太郎が生まれた、というか入っていた桃は一般に出回っているものではなくて、昔の桃だったという話はテレビ番組でも取り上げられる当たり前になりつつあるネタです。絵本に出てくる桃は先が尖っている品種で、今の軟らかくて、甘い桃に比べると別物です。
その話題を目にするために思うのは、意味がないことではないか、ということで、意味のない議論をすることは“桃太郎の桃”という言葉で表現されています。
この“桃太郎の桃”という言葉は、自律神経の調整で使われることがあります。自律神経は交感神経と副交感神経があり、身体活動を亢進させる交感神経と抑制させる副交感神経のバランスで成り立っていると表現されます。このバランスが乱れていると、活動的になるべきときに心身の状態が高まらない状況になり、それとは逆に興奮を抑えなければならないときに興奮しっぱなしということにもなります。
この乱れを調整するための方法として、深呼吸、音・音楽、入浴温度(38℃以下)、ハーブやサプリメントの活用など五感を刺激するなどと、いろいろなことが言われ、それぞれ効果があるという研究報告があります。その研究報告の中には自律神経の調整に取り組むのは無駄なこと、それこそ“桃太郎の桃”だと言っている医師もいます。
自律神経は自分の意思とは無関係に自律して調整する神経なので、無駄なことをしないで自然に任せておけばいい、自律神経の調整は金儲けの手段と言い切っている医師もいます。
しかし、実際には調整ができない人もいます。調整ができない人は精神疾患だと断言する医師までいるのですが、そうではなくて、精神疾患でなくても自律神経の調整に必要な神経伝達物質のセロトニンが不足しているために、交感神経の働きすぎを抑えられない人もいます。
特に多くみられるのは発達障害がある人で、発達障害がある人への対処がわからない人は、それは医師や研究者などであっても、健康を回復させるどころか、逆のことをしてしまうことになるということを知ってほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)