「クスリはリスク」というのは、“クスリ”を逆に読むと“リスク”となることから、医薬品に頼らない予防医学を提唱する専門家が使い始めたものでした。それは医薬品を使っている医師からも聞かれるようになりました。
患者に適した医薬品を的確に選択して、患者の状態や生活状況、他の健康づくりの行動に合わせて種類や分量を変えている医師にしてみれば、マニュアルどおりに処方するだけの医師は揶揄したいような対象かもしれません。
マニュアルどおりといっても、各製薬会社から公表されている医薬品のトリセツ(取扱説明書)読めば、どんな人に使ってはいけないのか、どれだけの期間にわたって続けてよいのか、ということが作用機序(効き方のメカニズム)とともに知ることができます。そして、個人に合わせた微調整も行えるようになっています。
ところが、前に通っていた病院の処方そのままに医薬品の種類と用法用量(どれだけの量を、いつ飲むのか)を指示したり、前の処方に現状に対応する医薬品をプラスして種類を増やしている医師もいます。そのプラスした医薬品との組み合わせによって、プラスになるどころかマイナスにもなること、つまり副作用のリスクが高まることもあるのです。
医薬品は必要なもので、それによって命が救われることは認めるとしても、誤った使い方をするとリスクのほうが大きい、ということも普通に起こることです。
スタチン剤(コレステロール降下剤)は悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールを低下させる作用があるものの、LDLコレステロールが増える仕組みとエネルギー物質のATPが作られる仕組みが同じなので、LDLコレステロールを減らすとエネルギー代謝が低下します。エネルギー代謝の研究からすると、発生したエネルギーによって肝臓のLDLコレステロール製造が調整されるのに、それを低下させることと、肝機能障害を起こすリスクが気になります。
さらにスタチン剤には動脈硬化や促進することが指摘されていて、動脈硬化を予防するはずの医薬品で、動脈硬化のリスクを高めてしまうことも懸念されます。もちろん、対象者によって異なってくるので、安全性は患者や患者の家族には気になることですが、多くの医師と交流をしてきて、案外と医薬品の作用機序を知らないまま処方している医師がいることがわかっています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)