今回のテーマは、同じように見える魚が実は違っているということを示して、健康効果の違いを語ろうということではありません。見た目は同じでも違いがあるということを、健康づくりの考え方につなげていこうということです。
鮭(さけ)もサーモンも健康成分とされる不飽和脂肪酸も、たんぱく質もほとんど違いはありません。違いがないどころか、まったく同じだという考えもあります。それは日本語では鮭、英語ではサーモンと呼び名が違うだけと思われているからです。
鮭の英語表記はsalmonです。サーモンが初めて魚売り場に登場したときには、鮭とサーモンは食べるときの調理法の違いで、鮭は加熱が必要で、サーモンは生で食べられるということがメディアでも盛んに紹介されていました。鮭にはアニサキス幼虫が寄生していて、生で食べると寄生虫症になる危険があるので、加熱して殺す必要があるというのが、その理由です。
それに対してサーモンは養殖魚で、エサの中にはアニサキス幼虫がいないので、生で食べられるということで、天然物か養殖か、サーモンを養殖している海外からの輸入物かという違いという説明がされています。
この説明に従うと鮭もサーモンも同じものということになりそうですが、魚売り場で見られるサーモンや飲食店で提供されるサーモンは、ほとんどが鮭ではありません。サーモンと名乗っている魚は実は鱒(ます)です。鱒の英語名はトラウトサーモン(trout salmon)で、これを略してサーモンと読んでいます。
嘘ではないものの、極めて嘘に近い、勘違いをさせるような表示となっています。
ちなみに、大谷翔平選手のチームメイトのマイク・トラウト選手のトラウトの表記はtroutで、鱒そのものを指しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)