健康あない人43 薬害の定義

“薬害”という言葉は医学的には実は定義が存在していなくて、一般的には「医薬品の有害性に関する情報を、加害者側が軽視・無視した結果、社会的に引き起こされる人災的な健康被害」との考え方がされています。

軽視・無視というのは故意であろうと過失であろうと関係がないということで、医師の知識不足のために起こることは薬害といえます。知識不足ということは、処方箋を書く医師に薬害の意識がないということを指していて、その薬害の被害を受けるのは医薬品を飲んでいる患者ということになります。

医師は医薬品を処方するのだから、医薬品については詳しいと思いがちですが、医薬品の種類が多すぎて、複数の医薬品が使われることが多くなっています。高齢化が進むにつれて、医薬品への耐性が弱い人が増えてくるうえに、2種類、3種類の医薬品は組み合わせて使われるのは当たり前という状態では、必ずしも全部の種類と内容(有効性、安全性)を熟知して処方しているわけではないということを知っておくべきです。

医薬品の種類によっては、患者だけでなく、家族も影響を受けることになります。例えば、睡眠薬の場合には患者が充分に眠れないことによって、夜中に起きる、頻繁に目覚めるということによって、家族の睡眠が乱れ、生活にも支障が出てきます。そのために患者のケアが不十分になることも当然のようにあることです。

定義がないということは薬害を防ぐための法律もないということで、医薬品医療機器法(医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)においても特に注意喚起はされていません。“安全性の確保等”と法律の正式名に入っているにも関わらず、ということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)