3年にわたって国民の生活を変え、健康づくりに大きな影響を残してしまったコロナ禍は、完全に終息するタイミングはわからなくても、収束に向かっている段階では、コロナ禍で低下した国民的な健康度を一気に高めるようにスタートを切る絶好の機会となります。
コロナ禍では、外出が制限され、運動の機会も減り、その分だけ家庭にいて食べる量が増え、医療機関に行く機会も健診を受ける機会も減りました。
元のように歩く機会を増やし、食事にも気を使い、健診も受けて、気になることがあったら医療機関を利用するということをすれば、元のような健康状態になるということを期待しがちです。
しかし、大きく低下した健康度を一気に高めていくためには、これまでの健康づくりと同じことをしていたのでは間に合わないところまで来てしまっています。この“失われた3年間”を取り戻すためには、相当の覚悟を持って取り組まなければならないはずです。
同じことをしたとしても、以前と同じ発想ではなく、体制から考えていく必要があります。ウォーキングは医療費を削減する効果があることは知られていて、ポイント制を設けて歩く人を増やして、削減した金額の一部を参加者に還元するというのは効果があります。それを複数の自治体が実施しています。
しかし、ポイント制がなくても歩く人が参加していることが多くて、一定の効果はあっても、その先が進まないということが多くの実施組織で生じています。ポイント制は活かすとしても、これまで参加してこなかった人も参加して、参加して健康効果が得られた人がリーダーになって継続してという仕組みが求められます。
その仕組みも、従来のような上から進める(押し付ける?)のではなく、健康になることを願っている住民が自ら考え、提案していく市民提案型の発想で実施しなければ、ポストコロナの時代の健康づくりは難しいと感じているところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)