健康アナリスト2 健康の何を分析するのか

一つのことをすれば、それで望むような結果が得られるのであれば、こんなに簡単で楽な方法はないのですが、こと健康分野となると一つのことだけで解決できるということはありません。

世の中に溢れかえっている情報の中から、正しいものを見つけ、健康に役立つものを選択して、その中から継続できるものを選択することができれば、複数の方法であったとしても期待する健康状態に近づくことができるはずです。

ところが、ネット時代にあっては見ることができる情報の中から正しいものを見つけるのが、まずは困難な状況になっています。健康分野の情報を分析、選択、抽出して、実際に健康づくりを行う人の状態に合わせて調整をしていくには、膨大な作業が必要です。

経済アナリストのように分析する分野とデータが限られているなら、また評価が金銭の増減で判断できることであれば、そんなに難しいことではないのかもしれません。それなりの歴史と蓄積があって、ある程度のパターン化がされているからです。

最良の方法を提供すれば、その通りに実施してもらうこともできるのが売買の世界ではあります。ところが、言われた通りにやれと言われても、誰しもが同じようにできないのが心身に関することであり、健康づくりの難しいところでもあります。

そういった状況であるだけに、健康分野のアドバイザーとしての健康アナリスト(analyst)が求められる時代となっています。

ただ、これだけのことをすれば充分に仕事をしたことになるといった物差し(基準)がなくて、何事も曖昧になりがちなのが健康分野の難しいところです。最も簡単なところで例を示すと、ダイエットの方法を示して、その通りに実施して結果が得られたとしても、「私が望んでいた結果と違う」という一言で、すべてが徒労に終わることもあります。

かつて私が理事を務めていた公益財団法人の名称は、日本健康スポーツ連盟といって、健康とスポーツを結びつけて、「スポーツの中でも健康に特化したもの」ということはイメージできても、具体的なスポーツ名を即座に思い浮かべることができた人は、ほとんどいませんでした。

そもそもスポーツは売っていなくて、「スポーツを売ってください」と言われたら、どんなスポーツなのかを聞いて、用具なのか競技なのか団体なのかを聞いて、やっと提供すべきものを伝えることができます。

健康も同じことで、何を求めているのかがわからないことには、やるべきことも、優先させることもわからず、やったことの結果の評価もすることができません。

分析することは決まっているようでも、求める人によって分析そのものを変えていかなければならないのが難しいところではあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕