健康ウォーキングの組織体制を考えるときに検討するのは、なんといっても日本ウオーキング協会の体制です。日本ウオーキング協会は、前の東京オリンピックの1964年に前身組織の歩け歩けの会が結成されましたが、そのきっかけはオリンピックではなくて、」1963年にアメリカ大陸を横断歩行するイベントに早稲田大学の学生が参加して、その報告会が1964年にあったことです。
これを受けて東京都内に同好会組織ができて、ここから発展して東京都ウオーキング協会へとつながっていきます。日本歩け歩け協会を経て日本ウオーキング協会が設立されていますが、全国へと歩け歩け運動を広げる実践をしたのは東京都ウオーキング協会の前身組織でした。
全47都道府県を歩くイベントが計画されたときに、日本ウオーキング協会の呼びかけによって、各地の同好会的な歩く会が都道府県単位で集合して、都道府県の協会が組織化されました。その結果、日本ウオーキング協会を頂点として都道府県のウオーキング協会があり、その傘下に市区町村協会(地域の名前をつけた歩こう会、徒歩の会など)があるというピラミッド型の組織となっています。
そのほうが全国を対象とした活動をするのに便利で、同じ方式で自治体が全国のウオーキング大会の主催者となって実施する、そこに都道府県のウオーキング協会が協力して実施してきました。ところが、ひとたび新型コロナウイルス感染のようなことが起こると、自治体が主催者であるために危険回避のために昨年3月から1年半以上も大会は中止で、再開の目処も立たないということにもなってしまいます。
自治体ごとに、地方組織が自治体と連携して実施していれば、全国一斉中止、他の地域の動向を見ながら再開を考えていくというような消極的な姿にはならなかったはずです。市区町村単位の組織が自由に歩くというのは、安全性が確保されていれば問題がないはずですが、ウオーキング大会を都道府県のウオーキング協会の名のもとに実施してきただけに、その傘下の組織が勝手に動くというのは、やりにくいところがあります。
コロナ禍でも健康のために歩くことは禁止されていなくて、厚生労働省は、むしろ歩くための外出を、密を避けるという条件付きながら推奨しています。これを受けて歩きたくても地域での歩くイベントがないというのが実情です。そんなこともあって、地区町村協会が都道府県単位の協会から抜けていくということも各地域でみられています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)