温かな血液を全身に巡らせて、冷えを防ぐためには、筋肉を盛んに動かして、ポンプ作用によって血液を早く、勢いよく送り出してやることです。ウォーキングは筋肉に適度な負荷がかかり続け、次々に血液を先へと送っていくことができます。
ウォーキングは酸素を適度に取り込み、10~15分まではブドウ糖を中心に代謝(燃焼)させ、それ以降は脂肪酸を中心に代謝させ、エネルギーを作り出すことによって体温を高め、血液の温度も高めていきます。その温まった血液が、筋肉のミルキング(絞る)効果によって、送り出され続けます。そして、有酸素運動によって取り込まれた酸素が全身の細胞に送られ、さらにエネルギー代謝を高めていくことになります。
筋肉の能力は、強い力で重いものを持ち上げる“筋力”、筋肉の動きを長く継続できる“筋持久力”、そして“筋代謝力”の3種類があります。筋代謝力は、エネルギー源のブドウ糖や脂肪酸をエネルギーに変換する能力のことで、強い負荷がかかる筋肉運動よりも、弱めの筋肉運動が長く続くことで高まっていきます。つまり、適度な負荷が長くかかることで、エネルギーが多く必要になり、そのためにブドウ糖と脂肪酸をエネルギー化する能力が高まっていくということです。
筋代謝力は、ただ歩くだけでも高まっていくと説明されることがありますが、それだけでは充分とはいえません。腰を低くした姿勢になり、腰からグイグイと前に進んでいく、筋肉が縮んで伸びる動きを強くすることでエネルギーの必要量が高まり、それだけ筋代謝力も高まっていきます。
この歩き方をするためには、惰性で歩くのではなく、前傾姿勢になって重心を前に移動させ、1歩ずつ前に踏み出すようにして前進するようにします。これによって、より血流が高まり、放熱を補うだけの温かな血液が全身に送られていきます。足先が冷えることが多いのは、それだけ足先は血管の末端であることから温かな血液が送られにくくなっているからです。