運動療法は、食事療法、薬物療法と並ぶ重要な療法で、糖尿病治療をはじめ多くの生活習慣病の治療の有力な手段となっています。しかし、進行した合併症がある場合には、運動が症状を悪化させることもあり、適度な運動量に抑えることがすすめられています。
生活習慣病の改善・治療のために、運動療法については医療系の学会によって、それぞれガイドラインが定められています。糖尿病、脂質異常症、高血圧症などのガイドラインに運動療法が示されていますが、その中から最も詳しく内容が示されている日本糖尿病学会の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」を例示します。
◎運動療法の開始と合併症のある糖尿病患者における運動療法
◉運動療法を開始する際には、心血管疾患の有無や程度、糖尿病慢性合併症である末梢および自律神経障害や進行した網膜症、腎症、整形外科的疾患などをあらかじめ医学的に評価する必要がある。
◉進行した合併症のある患者においても、日常生活における身体活動量を可能な限り低下させないようにする。
◎2型糖尿病患者における運動療法
◉運動により心肺機能の改善、血糖コントロールの改善、脂質代謝の改善、血圧低下、インスリン感受性の増加が認められる。
◉有酸素運動とレジスタンス運動は、ともに血糖コントロールに有効であり、併用による効果がある。
◉運動療法は、食事療法と組み合わせることによりさらに高い効果が期待できる。