健康ウォーキング43 糖尿病の運動療法2

日本糖尿病学会の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」の中から運動療法について前回に続いて紹介します。
◎1型糖尿病患者における運動療法
◉進行した合併症がなく、血糖コントロールが良好であれば、インスリン療法や補食を調整することにより、いかなる運動も可能である。
◉運動の長期的な血糖コントロールへの効果は不明であるが、心血管系疾患のリスク因子を低下させ、生活の質を改善させる。
◎薬物治療中の糖尿病患者における運動療法
◉インスリン治療をしている患者では血糖自己測定を行い、運動の時間や種類、量により、運動前や運動中に補食する。運動前後のインスリン量を減らす、などの調整が必要である。
◉経口血糖降下薬(特にスルホニル尿素薬)では投薬量を減らす必要がある場合もある。
◎糖尿病患者の運動療法における一般的な注意
◉両足をよく観察し、足に合った足底全体へのクッションのある靴を用いる。
◉血糖コントロールの悪いとき(特に1型糖尿病・2型糖尿病患者とも尿ケトン体陽性時)は運動を行わない。
◉インスリンや経口血糖降下薬(特にスルホニル尿素薬)で治療を行っている患者において、運動中および運動当日~翌日に低血糖を起こすおそれがある。特にインスリン治療中の患者では、運動前の血糖値が100mg/dl未満の場合には吸収のよい炭水化物を1~2単位摂取することが望ましい。
◉日常生活のなかで段階的に運動量を増やしていく。運動の前後に準備運動と整理運動を行う。
◉運動の到達目標としては、頻度はできれば毎日、少なくとも週に3~5回、中等度の強度の有酸素運動を20~60分間行うことが一般には勧められる。