健康ジャーナリスト5

◎健康食品業界の騙しの温床
健康食品には「良いものもあれば悪いものもある」というのは一般の認識で、さらに「安全なものもあれば危険なものもある」という認識も抱かれがちです。これはほぼ当たっていると言って間違いがないことですが、使用する人は良いもので安全なものを求めるのは当然のことです。良いものというのは、期待する効果が得られるものという、言葉を変えれば“薬効”を求めているということです。
健康食品業界では使われない“薬効”という言葉をあえて使ったのは、購入する人は薬効を期待しているのに、販売するほうは薬効を絶対に表示したり、述べたりはしません。というのは、医薬品と医療機器を規制する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略して薬機法)によって、効能効果が述べられるのは医薬品だけだと定められているからです。
薬機法には、医薬品は日本薬局方に収められているものと書かれています。日本薬局方は医薬品のリストです。これに載っていないものは医薬品ではなくて、口から入れるものは食品扱いとなります。次に書かれているのは、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされるもの、ということです。医薬品でないものは治療はもちろんのこと疾病の予防にも使うことはできないのです。
最後に書かれているのは、人または動物の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされるもの、ということで、例えば血液サラサラや活性酸素を消去する抗酸化作用も述べることはできません。
これらの規制を具体的に示すために出されたのが「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」で、この名称からしてわかることは、医薬品の範疇のことを述べると、健康食品は承認も許可も受けていない医薬品となり、偽薬と同じように厳しく取り締まるということを示しているのです。
そのとおりに従っていたら販売できなくなってしまうような内容なのですが、効能効果も言えない、機能性も言えないということを逆手にとって、いかにも効きそうなイメージで販売されている健康食品も多いのです。商品の実際の中身が言えないということから、優れた商品が選べないというのが実態なのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)