健康ジャーナリスト6

◎取材でわかった健康食品業界の実態
健康食品の記事の執筆を週刊誌の編集部から受けたときに、毎週の掲載で50回を目標にしました。実際には、もうじき100回という直前で終了したのですが、持ち込まれる有効性の物語だけでは面白くないので、誌面で取り上げるすべての会社を訪問して代表者や関係する研究者から話を聞きました。そのおかげで、健康食品業界の実態を知ることができました。取材先の会社はまともな商売をしていても、同業者のことを話題にすると、よくない話が出てくる出てくる!
もともと健康食品を規制する側のサポートをしていて、法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)と、法律に基づく監視指導マニュアルの作成にも関わってきたので、業界の実態や裏の話は行政にとっても有益が情報源でした。監視指導マニュアルは何度か改定されましたが、それは規制をくぐり抜けようとする会社があり、その手口を一つひとつ潰していくように、だんだんと細かな内容となっていきました。
そのときの取材で得た情報は、機能性表示食品の委員になったときも役立ちました。というよりも民間で、学者でもない私が委員として呼ばれたのは、業界の手口に精通しているからで、「その規制では、こういう逃れ方をしてくる」という規制のチェック役のような立場でした。
これは機能性表示食品だけでなく、すべての健康食品を使用する人にはプラスになったはずですが、健康食品業界には恨まれるようなことにもなりました。東京にいたときには、恨んでいても現役で行政とともに動いていたので、それなりの接触をしてきて、言えないことは言えないという立場でありながらも、講習などを求めてくる会社はありました。しかし、岡山に移住してからは、そのようなことで呼ばれることはなくなり、事情をあまりに知りすぎている人間は避ける対象でしかないということで、自分が健康食品業界を対象にしたジャーナリストであったことも忘れてしまったような状態でした。
そのときに得た情報は、今度は大学のスポーツ選手を対象に伝えるということで、再び陽の目を見ることになりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)