健康づくりは、それぞれ個人の状態に合わせた方法で実施するのがよいことは言うまでもないことで、これは“個別対応”と呼ばれています。個別対応というと、病院の栄養管理(一般的には病院給食)でよく使われていて、個人の疾患に合わせた食事療法として禁止もしくは減らす食品、増やす食品が決められ、これを献立にして料理がつくられます。
見た目は同じであっても、使われている食材や調味料が違い、切り方や加熱時間なども異なっているということですが、これを個人対応と言われても納得できないという人が多いはずです。
苦手な食材を使っていては食べにくいのは当たり前ですが、今日な肉の料理なのに1人だけ魚にするということは特殊な疾患の患者にだけ行われることで、通常は食材や調理法まで個人対応することはできません。これが大量調理の問題で、仕方がないことです。
同じ料理で同じように栄養摂取ができるというのが原則で、それに疾病による制限を加えて調整すれば対応できるというのは、全員が同じ身体の機能であるという原則があるからです。同じ食品を食べたのに、ある人は消化されて、ある人は消化されないというようなことはありません。
しかし、これは成人を対象とした話で、年齢を重ねてくると身体の機能が低下して、消化液の分泌量の違いによって肉が食べにくい人も出てきます。高齢者は自律神経の副交感神経の働きが低下して、そのために消化液の分泌、小腸からの吸収、腸管の蠕動運動が、どれも低下してします。
そのために、これだけの量なら消化できる、必要な栄養素を吸収できるとの基本的な計算だけでは、実際に吸収される量が違ってきます。そこも配慮して、健康づくりのデザインの一つのパーツである栄養摂取は考えないといけないのです。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕