健康デザイン34 食べる前からの連携調整

栄養の消化、吸収は健康づくりの原点です。そのため、健康づくりは食べ物を噛むことから始まると考えられています。日本メディカルダイエット支援機構は胃での消化から始まって、腸での吸収、栄養素が血液中に入ってからの循環、全身の細胞での代謝、そして不要になったものの排泄までが活動の対象でした。

そこで、噛むことから始まる健康づくりへの範囲を広げるときに、歯と口腔の健康に携わる歯科との連携を考えました。日本メディカルダイエット支援機構のスタート時点では、日本臨床栄養学会の研究者と連携していたことから、日本咀嚼学会との交流もあり、咀嚼の重要性も認識していました。

口に入れてから排泄するまでの一連の流れでの研究と指導ができるようになったら、すべてが解決できるのかというと、まだ研究しなければならないことがあります。それは食べる前のことで、食べたくても食べられないことがあります。

それには経済的な問題や疾患なども含まれるのですが、私たちが特に着目しているのは発達障害です。発達障害の特性の一つに極端な偏食があり、五感(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚)の過敏によって、食べにくい、食べられないということが起こっています。

発達障害は医療分野では精神科医が担当していますが、その治療だけによって食の困難さが解決できるわけではなりません。身体科医の関わりも重要で、それをつなぐことになる歯科医も重要となります。

発達障害児の支援ではリエゾンという言葉が登場します。リエゾン(Liaison)は連携、調整、つなぐ、橋渡しといった意味で、発達障害児の支援には、数多くの専門家の協力・連携が重要となります。

その連携(リエゾン)は、食べることから始まる健康づくりの基本であり、発達障害の改善には食べることの困難さへのアプローチが重要になってくるということです。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕