見た目が若い人は身体の年齢も若く、これが身体年齢測定の結果にも現れてきます。見た目の若さというと、肌の若さや行動の若さなどが取り上げられることが多いのですが、すべての年齢に言えることではありません。
見た目の若さが確かに身体的な若さと直結しているのは50歳くらいまでで、それ以降になると見た目の若さを保つように工夫をしても、身体的な若さと乖離していくことがあります。それは血管の状態と関係しています。
細胞のエネルギー代謝が高い年齢のときには、血管にダメージを与える糖質、脂質の摂りすぎがあっても、糖質も脂質もエネルギー代謝によって多く消費されることから、ダメージを与えるところまでは進みにくくなっています。
ところが、中高年になってエネルギー代謝が低下してくると、余分となった糖質は血糖値を大きく上昇させて、血管の細胞に浸透して細胞の新陳代謝を低下させることになります。そのために血管の老化が進みやすく、血管の弾力が低下して動脈硬化が進みやすくなります。
血液中の中性脂肪が多くなりすぎる脂質異常症では、血管の内側に脂肪が沈着して血管壁に溜まっていくために、血管壁が壊れやすくなります。その結果として徐々に血管壁が厚くなり、詰まりやすくなっていきます。血管壁が破れたときには血小板が多く作られ、血小板が集まると血栓になります。血栓が大きくなって動脈を塞ぐと、その先には血液が流れなくなります。これが動脈硬化の原因とされています。
中高年以降は見た目と血管の状態には違いがあり、血管年齢を測定することはできます。しかし、血管年齢がわかっても、これを改善するのは簡単ではありません。血管の老化は血流量の低下につながり、心肺機能の低下にもつながっていきます。
健康デザインでは身体年齢測定を採用して、上半身の筋力を握力で、下半身の筋力を片足立ち時間で判定しています。これと合わせて、オプションにはなるものの、30秒間で椅子からの立ち上がりの回数を測定するのは、血管の弾力性を想定するのに適した方法であるからです。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕