健康デザインのために実施する身体年齢測定では、握力の測定を実施しています。握力は利き腕や仕事などで盛んに動かしているほうが強くなる傾向があることから、左右の握力が測定されます。
握力は加齢を推定する数値として活用されています。握力は物を握りしめる力のことで、前腕屈筋群と手筋の力を指しています。全身の筋肉量との研究から、大腿四頭筋力、背筋力と握力との相関性が報告されています。
また、握力は持久力、生活活動に必要な体力測定の項目とも相関性が認められています。握力の低下は全身の筋力の低下、筋肉量の低下を示す指標となっていて、加齢による減少の割合も明らかにされています。
握力は20歳を100%とすると60歳では85%ほどに、70歳では75%ほどに低下していきます。加齢につれて低下するものの、他の体力要素に比べると最も低下しにくい指標となっています。
握力と認知機能の関連性も研究が進められていて、握力が5kg低下するごとに認知症発症リスクが男性では1.16倍、女性では1.14倍に高まります。アルツハイマー病のリスクは男性が1.11倍、女性が1.13倍、血管性認知症のリスクは男性が1.23倍、女性が1.20倍との報告もあります。
握力によって身体年齢が把握されたら、握力を強くするように頑張る人が多くいますが、握力は全身の筋力を示す指標ともなっているので、全身を動かすこと、筋肉を刺激することが重要であることを伝えます。そして、具体的な筋力強化法を、年齢に応じて指導することも実施しています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕