血糖値が高めの人には、ウォーキングなどの持久運動のほかに、筋肉をつけるための強化運動も指導されることが多くなっています。
血糖値が高い人は、筋肉細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギーとする力が弱くなるため、ブドウ糖の代わりに脂肪もエネルギーとして使われるようになります。
そのために糖尿病まで進むと脂肪がエネルギーとして使われるために、だんだんとやせてきます。また、筋肉に蓄えられているたんぱく質もエネルギーとして使われるために、筋肉が衰えていくようになります。
糖尿病予備群と呼ばれる血糖値が高い状態では、筋肉が急に減っていくようなことはないものの、筋肉への負荷が不足すると徐々に筋肉が衰えていくことになります。
ブドウ糖は筋肉が主に使っているので、筋肉の量が増えることは、それだけブドウ糖が筋肉に取り込まれることになり、血糖値も下がりやすくなります。
筋肉の量を増やす方法には二つの方法があります。一つはマシンやバーベルなどを使って、筋繊維に損傷を加えることにより成長ホルモン(HGH)を分泌させ、筋肉を修復肥大させるというパワーレジスタンスです。
もう一つの方法は、軽い負荷をかけながら有酸素運動を続けることで、筋肉がブドウ糖を燃焼させる筋代謝力を高めていく方法です。
ただ、歩くだけでなく、筋肉にある程度の力を加えることによって筋肉をパンプアップさせ、筋肉内部の毛細血管内の酸欠状態を作り出して乳酸を蓄積させながら歩く方法なら、あたかも激しい運動を行っていると脳に錯覚させます。
そして、脳の下垂体より大量の成長ホルモンを分泌させることによって筋肉を太らせることができます。これをスローレジスタンスと呼んでいます。
筋肉の能力というと瞬発力と持久力があげられていますが、もう一つ筋代謝力が注目されています。これは筋肉がブドウ糖や脂肪酸を燃焼させる能力のことで、有酸素運動を続けることで高まっていきます。筋代謝力を高めるためにもウォーキングは有効です。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕