健康リテラシー10 健康関連の情報は変化が激しい

医療や健康の世界は日進月歩で、現場を少し離れていただけでも“浦島太郎状態”になるというのは、海外の災害支援などで医療現場を離れた人たちがよく口にすることです。

どんな世界でも変化は激しく、中でもコロナ禍のような未曾有の状態が続いたことで、技術や情報だけでなく、社会の捉え方が変化して、これまでの手法が通じなくなることがあります。それこそ健康情報についても未曾有な状態になっていると考えられます。

専門分野の世界にいれば多くの情報が入ってくるので、情報から取り残されることはなくなります。しかし、健康の分野は医学、生理学、薬学、栄養学、理学、心理学、運動科学などといった分野だけの学習と情報だけではカバーしきれない多様性があります。

すべての分野の情報を得ることは、情報過多の時代には不可能に近くなっています。これに少しでも対応しようと日本メディカルダイエット支援機構が専門家向けに発信しているのが「健康情報メール」です。NPO法人(特定非営利活動法人)として内閣府から認証されたのは2008年で、そのときから試験的に情報発信を始めて、2010年4月には毎週1回の本格発信(各40本ほど)をスタートさせています。

発信先も医師、研究者、団体役員、健康関連業種、福祉関連業種、メディアなどとさまざまであるので、それぞれに適した情報をピックアップしていると範囲が多岐に渡ります。長く続けていると正しいとされてきた情報が変化することもわかり、それほど期間が空いていない時期に異なる結果が発表されることもわかってきます。

それだけに今の情報は正しいものとして伝えていると間違いを犯すことになることも、発信先の専門家は気づいています。「健康情報メール」は膨大な発表データの一部でしかなくて、私どもの方向性に近いものが多くなりがちなものの、これに刺激された専門家は健康リテラシーをさらに高めて、専門分野の情報の中から正しい情報、役立つ情報、患者などに自信をもって実践をすすめられるようになっていくのも実感してきました。

その健康情報の発信者の健康リテラシーの向上は、健康情報を伝えられる方々(患者や受講者など)の健康リテラシーの向上にもつながると信じて、「健康情報メール」を続けています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕