健康リテラシー16 臨床栄養での恩人との研究3

臨床栄養の師匠である山本辰芳先生(管理栄養士)は、国立病院出身で、同じ職種の管理栄養士の仕事を作ることにも力を入れていました。病気になってからの栄養指導ではなく、予防段階での指導が重要であるとの考えの一つがTHP運動への関わりでした。

1988年に労働安全衛生法が改正され、健康保持増進が事業者の努力義務となったことをきっかけにしてTHP活動が始まりました。THPは 「Total Health Promotion Plan」の略称で、働く人の心身の健康づくりを目指して、企業が取り組む計画を指しています。

健康診断の結果に基づいた健康づくりを的確に実践するためには、検査結果の意味を知り、改善のために必要なことを知ることが大切であり、その指導者として産業栄養指導者、産業保健指導者、ヘルスケア・トレーナー、心理相談員が設けられました。このうち産業栄養指導者会が設立されて、その理事長として山本先生は講習や情報提供が行っていました。

2008年から特定健診・特定保健指導が始まりました。これは40歳以上74歳未満のすべての被保険者・被扶養者を対象に、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防を目的としたもので、結果に基づいて必要に応じて保健指導が行われています。

従来の健康診断は生活習慣病の早期発見・早期治療が重視されてきましたが、内臓脂肪の過剰蓄積による糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化の予防・改善が重視されることになりました。

特定健診・特定保健指導は企業で働く人と家族だけでなく、地域住民も対象として実施されましたが、栄養指導はすべての人に役立つことであり、これにも病院出身の管理栄養士が力を発揮することになりました。

これらに力を注ぐ山本先生が代表の「HDS研究所」では、私は主任研究員として活動してきて、これが食事と運動を組み合わせるメディカルダイエットへとつながりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕