健康リテラシー2 リテラシーのレベルの差

日本人は健康リテラシーが高いのか、それとも低いのかということは常に問われてきたことです。我が国は公共メディアやネットによる情報網が充実していて、例えばテレビ番組でもインターネット情報でも健康分野の情報が溢れています。

情報が多く、それをキャッチする機会が多ければ、それで理解する能力が高まるということなら「情報の多さ=健康リテラシーの高さ」とみることもできます。しかし、“もっともらしい話”を真実だと安易に判断して受け入れるようなところがあると、本人は理解しているつもりであっても、実際には自分で判断していないことにもなります。

自分では判断しているつもりでも、実は誰かの意図に沿った答えを、そのまま受け入れているということにもなりかねないのです。テレビ番組でもネット情報でも、そういった仕掛けが多くなっています。

ネットニュースは公平に選ばれたものではなく、発信者(企業、個人)の意図があって、その中で紹介されている記事も誰かの主張を載せているということは多くの人が気づいていることです。気づいていても、疑いを持たずに読んで、主張に賛同することが多いのも事実です。

それを強く感じているのは、テレビの健康番組の企画、インターネットの健康情報の企画と提供を手掛けてきて、表向きと裏の顔(実際の意図)の違いを嫌というほど経験してきたからです。言葉を違えれば、騙される側の注意喚起ではなくて、騙す側の手法と、その結果(誘導された内容)を知るだけ知っているからです。

これはメディアの話だけではなくて、日本人は権威に弱いところがあって、同じ内容であっても権利がある(ありそうに見える)人の発言だと、真実だと思って受け入れるところがあります。

専門的な情報になるほど、医師からの説明を聞きたいというメディア側の考え、視聴者の感覚もあって、実際には何も知らない著名な医師に台本を覚えてもらって(覚えられない場合には目の前に文字を示して読んでもらって)コメントしてもらったことも十指では足りないくらいです。

世の中で最も賢い人たちは入試も国家資格の取得も大変な医師だという思い込みもあって、医師のいうことは素直に受け入れてしまうところがあります。それは医師が、どんな教育を受けて、どれだけの知識を得ているのかを知らないことも関係しています。

健康リテラシーに重要となる栄養と運動の知識が、実は医師は充分ではなくて、確信を持って患者に伝えているわけではないことを知らないと、自分の意志に反して従ってしまうことにもなりかねないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕