健康リテラシー33 “糖質制限”との戦い2

血糖値は血液中のブドウ糖の量を示す数値で、ブドウ糖が含まれる糖質が多い食品を食べると、胃で分解されてブドウ糖が血液中に多く含まれるようになります。

食品に含まれるブドウ糖の量が少ない低GI食品を摂ることによって、膵臓から分泌されるインスリンが少なくて済むようになり、太りにくくなるというのが「低インシュリンダイエット」です。

低インシュリンダイエットがヒットしたのは、2002年のことで、この時期に出版もメディア登場も相次ぎました。これが糖質制限の始まりのように思われているところもあるものの、糖質制限のダイエットは過去にもアトキンス・ダイエット、バーンスタイン・ダイエット、ケトン体ダイエットなどがありました。

アトキンス・ダイエットは1日の炭水化物の摂取量を20〜40gに制限するもので、同様なものにはケトン体ダイエットなどがあります。バーンスタイン・ダイエットは1日の炭水化物の摂取量を130gまでに制限するもので、ロカボダイエット(70〜130g)と同じ分類とされています。

糖質制限をすると、血糖値が上昇しにくくなり、血糖値に反応して分泌されるインスリンが減少して、インスリンによって肝臓で合成される脂肪酸が増えるようになります。インスリンが減るほど脂肪酸の合成量が減り、脂肪酸が結合してできる中性脂肪が減ります。

肝臓で中性脂肪が多く作られると、中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれることになるのですが、インスリンには脂肪細胞への取り込みを促進する働きもあります。これが血糖値の上層によって太りやすくなる仕組みです。

メタボリックシンドロームに基づいた特定健診・特定保健指導が2008年に始まったときには、糖質は極端に制限するのではなく、糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー源を全体的に少なくしていくことの重要性が訴えられるようになりました。

しかし、糖質制限のインパクトの強さから、エネルギー源の減少というと糖質制限、糖質だけ減らせばよいという間違った認識は今も続いています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕