健康リテラシー6 そもそも健康とは何を指すのか

健康リテラシーについて説明していくと必要になってくることの一つに“健康の定義”があります。よく使われる言葉であるのに、説明を求められると解説ができない人も多くて、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られてしまうかもしれません。

健康という概念を説明するのは難しいところがあって、健康そのものを売っているわけでもなくて、買うわけにもいきません。健康ということで思い浮かべることが多い医師のところに行って、「健康にしてください」と希望しても、健康になる方法を施してくれるわけではありません。

何を持って健康というのか、ということですが、健康についてはWHO(世界保健機関)が次のように定義しています。

「健康とは、肉体的、精神的および社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」

社会的な健康というのはわかりにくかと思いますが、①自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、②状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、③他人と社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を合わせたものを意味しています。

社会的な健康のためには、心身の健康状態が保たれていることが基本であり、すべての要素が総合的に充実していないことには、健康であると胸を張って生活することも仕事をすることもできないということになります。

健康は英語では「health」となりますが、これは衛生とも訳されます。アメリカのNIH(National Institutes of Health)は日本では国立衛生研究所と紹介されることがほとんどですが、当地では国立健康研究所と認識されています。

日本ではヘルス(Health)の研究は、公衆衛生から始まったため、衛生と考えられることがあるのですが、今の感覚では“健康”です。NIHは複数の研究所から構成されていて、日本語表記すると国立がん研究所、国立心肺血液研究所、国立老化研究所、国立小児保健発達研究所、国立精神衛生研究所、国立アレルギー・感染症研究所、国立環境衛生科学研究所などがあり、その活動の中心も健康となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕