王道というと、正攻法や定番という意味で使っている人が多いようです。会話や講演などの中で「王道」というキーワードが使われるたびに、本来の意味で言っているのか、それとも誤用なのか気になってしまいますが、大抵は誤用のほうです。
単なる用語の間違った使い方であったら、それほど気に止める必要がないのかもしれません。しかし、健康に関わることについて、「これが王道だ」と言われて、本来の意味のほうで言っているとしたら、とんだ勘違いをすることになります。
そして、健康になるために必要な方法だと思って、効果がないことを続けることにもなりかねません。効果がないことに頑張るほど辛いことはありません。(辛いは「つらい」であって「からい」ではありません)
王道の本来の意味は「楽な方法」です。本来の意味を知っている人に対して、「あなたのやり方は王道です」と言ったら失礼にあたり、激怒されて、今後の付き合いも消滅してしまうかもしれません。
王道は英語では「royal road」と書かれるので、王様の道、正しい方法、まさに正攻法という意味に勘違いされやすいのは事実です。王道は、アケメネス朝ペルシャ帝国(紀元前6世紀から4世紀)にダレイオス1世が建設させた首都スーサから小アジアのサルディスを結ぶ2400kmの幹線道路のことです。それまでは通りにくく、3か月もかかった移動が王の道ができることによって1週間ほどで行けるようになったことに由来しています。
そこから楽な方法、多くの人がやりがちな安易な方法という意味となりました。
教育の世界では、古代ギリシャの数学者のユークリッド(エウクレイデス)が幾何学の学習について、エジプト王プトレマイオス1世に言った「学問に王道なし」という言葉がよく使われています。この使い方が王道の正しい意味を示しています。
話を健康づくりに移すと、安易な方法で、あまり効果がない方法を王道だと思い込むようなことがないように、例えば単純な歩くということでも、長い距離を歩けばいい、長時間歩けばいというのは誤用のほうの“王道”です。正しい理論を知って、それに従った方法は覚えるにも続けるにも楽ではないとしても、最終的に健康を手に入れるために「健康づくりに王道なし」の気持ちで取り組むことが大切だということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕