面倒なことを押し付けられそうになったときに、「私には役不足です」と答えて断ったつもりなのに、「それでは、よろしく」と任されてしまって困惑したという方に会ったことがあります。この場合には、押し付けてきた(と思われる)人のほうが正しくて、押し付けられたと文句を言う人のほうが間違っています。
このことをセミナーで話をすると、受講者からは“?”の連発になります。それは“役不足”の意味がわかっていないからで、多くの人は“力不足”と混同しています。
役不足というのは、自分の実力に対して与えられる役割が低い、弱いといった意味で、「もっと力が発揮できる役を与えてほしい」というときに使う言葉です。
これは健康づくりの活動する人に対しても同じことがあり、もっと評価されるべき役としてリーダーを任されてよいはずの人に、“役不足”と思わせるような役割しか与えられないことがあります。
例えば、地域で健康づくりのウォーキングを実施しているグループなり団体で、参加者をまとめる力があり、技術的なことを教えるにも充分な力量がある人なのに、ずっと以前からリーダーになっている人が、そのまま続けているということがあげられます。
今や、ただ歩けばよい、歩いていれば健康ということでは満足しない人が増えていて、もっと健康になる方法、それぞれの人が希望する効果(血圧を下げたい、血糖値を下げたいなど)に対して対応できない状況で終わっていることがあります。コロナ禍を経験して、外出も制限されるような中にあって、低下した健康度を高めたいという要望が湧き上がっている時代だけに、それに対応するようにするのがリーダーの役割だと考えます。
それは個人の資質に関わることではなくて、組織的な問題も絡んでいます。ウォーキングの全国団体は、これまでに歩いてきた距離(公式の大会イベントのみ換算)を記録して、長く歩いた人を表彰する制度が設けられています。そのために、先に参加した人が常にリードしていて、後から参加した人はランクが低いとみられてしまいます。
本来の評価のポイントとは異なるランキング付けがあるために、地域でも役不足の人が期待されているにも関わらず、なかなか力が発揮できないということが多いのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕