健康・火の用心25 健康づくりの“潮時”

いつやるべきなのかと問われたときに、「今でしょ!」と言うのは今ではギャグと捉えられてしまいがちですが、今まさにやらなければいけない状況で背中を押すために使うには的確な言葉です。

“今でしょ!”と言うべきタイミングは、本来はベストタイミングであるべきで、力を注いだのに、実はタイミングが合わなかった、少し前であったりピークを過ぎていたということでは効果が現れにくいだけでなくて、モチベーションにも関わってきます。

待ちに待ったベストのタイミングが訪れたときに、「潮時だ」と言ったら、前進するどころか退散の準備を始められたということを経験したことがあります。「そろそろ潮時」と言われると、もう頑張らずにストップしよう、引き返そうという意味だと思われているのでしょうが、なにも「そろそろ終わり」と言っているわけではないのです。

機運が盛り上がってきて、いよいよ本気になって進もう、アクセルを一気に踏み込むタイミングと思って掛け声をかけたのに、ブレーキを踏まれるようなことになったら、進むものも進まなくなり、健康づくりの機会を逃すことにもなります。

辞書の最高峰の広辞苑には、潮時は「あることをするための、ちょうどいい時期。好機。時期。」と書かれています。潮の満ち引きの満ちている絶好のタイミングのことで、引いている波のときには進みにくいということで、船を漕ぎ出す好機が潮時なのです。

多くの人が誤用をしていれば、いつの間にか正しい使い方とされるという考えもあるものの、文化庁の「国語に関する世論調査」によれば、正しい使い方をしているのは60%を超えていて、誤用は35%ほどということです。

潮時を退散の意味で使うのは、まだ間違いであり、潮時を逃してはいけない、まさに「今でしょ!」の勢いで健康づくりには取り組んでほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕